8月24日の日曜日。
私の経営する会社でスタッフを務めてくれ、現在は独立し、友人として付き合いをしている14歳も年下の「きんちゃん」。
彼は吹奏楽で全国制覇をした事もあるほどのフルート吹きで、現在もOBとして学生を指導する関係上、若い子達との交流が活発です。まぁ、きんちゃん自体がまだ20代なので十分若いですが・・・
で、昨年からきんちゃんを私のボートに乗せて一緒に遊んでますが、彼もすっかりボート遊びが気に入ってしまい、自分のボートを買うと息巻いております。
ただ、ボート買っても遊び方知らなかったら乗る機会も減っちゃうよ?という事で、せっせと私の遊びに付き合ってくれ、ボート遊びを覚えている最中です。
そして若い男の子ですから、やっぱり女性にモテたいというのは当然でして、この日曜日は、彼が連れて来た女の子2名を連れ、岸和田→明石海峡→淡路島というクルージングから、淡路のウエスティンホテルでランチして来ました。
朝待ち合わせで彼女達に会った第一印象は「子供?・・・」でした。聞けば二人とも19歳らしく、片方の女の子はお父さんが41歳で、つまり私と同い歳です。笑
この瞬間、親の気持ちになったのは間違いありません。笑
で、出航したわけですが、さすがに若い・・・乗った瞬間にキャーキャー騒ぎまくりです・・・写真撮りまくるわ、ボートの先っぽに座って、facetimeで友達にテレビ電話かけて、イヤホン使って二人とも通話に参加してるとか。
Twitterにも「クルージングなう」的な。笑
なんせ、はしゃぎっぱなし。
ちょっと波でボートが跳ねるだけで
「キャー!」「ヤバいー!」
「キャー!」「ヤバいー!」
の繰り返し。
始めてボートに乗るという話だったので、酔ったり怖い思いしないか心配していましたが十分楽しんでるようで良かったです。
ただ、残念だったのは、午後から天気がくずれる予報だったために、ランチだけして直ちに帰るという予定にしたんですね。天気が良さそうならプールで遊んで帰りたかったところですが残念。
という事で、11:30に到着したわけですが、食事を終えた13時頃に突然もの凄い雨が。
気象庁のレーダーナウキャストを見ると、どうやら1時間もすれば雲が抜ける予想で、実際14時には止んだため戻る事に。ただ、港を出た瞬間から予想を超える波の高さだったため、ちょっと嫌な予感がしました。
まぁ、風や波の具合によって局地的に荒れるという場所もありますから、もう少し沖まで出て様子を見ようと。
こういう状況に関しても、季節ごとに色んな所を走っていれば、荒れた場所があったとして「この季節はこんなもん」とか「ここだけ抜ければ大丈夫」と思えるわけですが、知らなければ「危ない、帰ろう」となるわけです。
そういう意味で、漁師さんが長年に渡って蓄積して来た情報は凄いですし、ボート遊びというのは仲間が多いほど、色んな情報が集まって安全に遊べると思います。
で、距離的に言うと1/5ぐらいまで進んだ所で、海遊びの用語で言うと「うさぎが跳ねる」と言いますが、所々で白波が立ってたんですね。これは、「これ以上荒れると危ないので早めに戻った方が良い」という1つのサインです。
ただ、まだ波の高さがさほどでもなかったため、危ないと判断するまでもなく、もう少し様子を見ようとそのままマリーナ方面へ。しかし、状況としては明らかに悪化に向かってました。
出る前に見た予報ではそこまで荒れるとは出てませんでしたし、夕方一時的に荒れても晩に向けて落ち着く予報だったのであまり心配はしていなかったんですね。
それが、急に悪化したようです。
で、そうこうしてるうちに、場所としては丁度半分ぐらい走った部分まで来ており、つまりこうなると「行くも引き返すも同じ距離」という事です。
そしてその頃には、後で数字を調べると、その時間帯、風速が9.1mで波が0.7mほどになってました。つまり、瞬間的には風はもっと強いだろうし、波も1mの物に遭っても不思議ではないという事です。
実際、風に関してはあんなに強風の中を走った事が無いですし、波も確実に1mある物を頻繁に見ました。自分で運転しない限りその恐さって分からないと思いますが、瀬戸内海のような浅い海で、波が1mもあると感覚的には飲み込まれそうな威圧を受けます。
恐らく、太平洋の1mだったら波長が長いので、どんぶらこ〜どんぶらこ〜って感じで気持ち良いんだと思いますし、実際、日本海や太平洋では1mの波って珍しくないですもんね。
それが瀬戸内海だと狭くて浅いので、バチャバチャと短い波長なわけで、それが1mあるともう恐怖以外の何物でもありません。予報などで出る数字で言えば、こちらの地方でぇは50cmを超える波だと出ない方が無難な感じです。
最大とはいえ「風速10m、波1m」というのは小さなプレジャーボートだと「転覆しそうな恐怖」を感じます。そう簡単に転覆はしないと言われますが、運転している人間からすると何度も「ヤバい・・・」と感じるのは間違いありません。
距離にして残り約15km、
時間にして約45分・・・
こういう時、大きなボートだったら「急いで帰る」という選択もあるんですが、小さいボートは波が大きくなると「飛ばす事ができない」のです。
ちなみにうちのボートはプレジャーボートとしては一般的なスピードで、波が小さければ最大26〜27ノット(約47km)出ます。ただ、今回ほど荒れて来ると、よくても15ノット(約27km)ほどしか出ませんので、早く帰りたいのに帰れない辛さは大きいです。
また、今回、波が真横からだった、というのも状況として最悪でした。
ボートは、真後ろから波をかぶるのが最も危なく、その次は真横からの波で、正面からであれば少々の波をかぶっても沈没はしないと言われます。というか、危ないとか安全とかを無視しても真横からの波は一番走りにくいので、波に向かって、または波を追う形のどちらかで波に対して斜めに走るしかなくなるわけです。
これはつまり、真っ直ぐ走れれば30kmで着く所が35km走らなければならないとか、そういう状況になるという事です。
一般的に、荒天時には2割ほど余計に燃料が必要と言われますので、つまり荒天の中、普段より2割も余計に走らなければならない可能性があるという事です。まぁ、荒天時はスピードも落ちますので燃費の兼ね合いもありますから、燃料の消費と距離は単純比例しませんが。
ちなみにですが、うちのボートの燃費は、巡航速度18ノットで30L/h、最高速度27ノットで50L/h、という感じです。
100Lと90Lの燃料タンクで計190L積めますので、巡航速度では約6時間走る事ができますが、最高速度では4時間程度しか走れない計算です。ボートは車と違って変速機がありませんから、回転数を上げれば上げるだけ燃料が減るわけです。
で、今回、距離的には恐らく2割はロスしていないと思われますが、ナビに残った航跡を見ると、結構ジグザグに走ったので、1割程度は余計に走ったのではないかと。こういう事があるので燃料は絶対に余分を残して帰らなければなりません。
まだそういう経験はありませんが、帰りたいマリーナを諦めて、走りやすい方角の別のマリーナへ避難という事も考えられます。
さて、その覚悟を決めた残り半分の時点から、行くも地獄帰るも地獄と判断されましたが、少なくとも「帰る方向の海域の方が慣れていて予想出来る」という事で、転覆までの心配はありませんでしたが、根性入れてマリーナを目指しました。
また、経験上「大概その場所は波が高くなる傾向がある」とうのもありましたので、あと10分か15分走れば多少は落ち着く見込みもあったので、出来るだけ最短距離でその場所を離れる方角を目指しました。
ただ、もしも、短時間でこれ以上荒れる事があれば正直こっちは「最悪の事」を想定しなければいけません。なので、一応「落ちた時の準備」だけ済ませ、あとは根性で乗り切るだけです。
しかし、一度も転覆した事が無いので、実際のところ「どこまで荒れると本当に危ないのか」が分からないのは、ある意味で怖い事なんじゃないかと思いました。願っても叶わない事ですが、一度転覆実験とかやっておきたいぐらいです。
一緒に乗っている、きんちゃんは、これまで何度も一緒に乗って、見張りなんかも教えてましたので「右からの大波だけ注意しておいて」とかお願いしながら何度も波にぶつかり、二人とも頭から何度も水しぶきを浴びて、風呂に入ったのかというぐらいズブ濡れになりました。
女の子達は一応屋根の下で座ってたので、後で聞いたら全然濡れなかったと言ってました。あと、若い女の子なので不安にさせるといけませんから、なるべく平静を装って
「ちょっと揺れるけど我慢してねー。にこにこ」と言いながら、おじさんは正直泣きたいぐらい怖かったです・・・
これまで、あれ以上の波の中を走った事が3回ぐらいありますが、1時間30分、最初から最後まで荒れっぱなしというのは経験が無く、ボート降りたら腕と肩がガチガチに凝ってたので相当緊張してたんだと思います。
今日は指の先から肩まで筋肉痛で、足も相当踏ん張ってたのか腿がガクガクしています。
男だけだったら「最悪ひっくり帰ったらすまん!急いで帰るよ!」とか言えますが、若い女子に万一の事があったら孫の世代まで・・・ですもんね。
何度もヒヤっとしながらも、そんなこんなで何とか走りきり、港が見えて堤防を越えた瞬間、一切波の無い世界。小さいボートがウェークボート曳いたり、ジェットに乗ってる人達がたくさんいました。
あの堤防を超えた向こうで私は1時間以上怖い思いをして走って来たのに、たった1枚あの堤防があるだけでこの別世界か・・・海って怖い。
ま、少なくとも女の子が怖い思いをせず、また行きたいと言ってましたので良かったです。
あと、前向きに考えれば大阪湾であの程度の荒れ具合なら根性入れれば走れる事がわかったとも言えます。
とは言え、もう二度とごめんですが、長年乗ってると、どれだけ気を付けたとしても怖い目には遭うでしょうし、あまり怖がって天気を選ぶと乗る機会が無くなってしまうというのもありますから、事故さえ無ければ荒天の経験も必要と言えば必要。
そんな感じで、まさに、行きは良い良い帰りは怖いという1日でした。
ウェスティンホテル淡路へボートで行く方法
ウェスティンホテル淡路へボートで行く際には、海の駅「あわじ交流の翼港」に係留して、係のおじさんに「ランチでウェスティンホテルを利用するので、迎えをお願いしたい」と伝えれば、ホテルに連絡してくれて、5〜10分もすればホテルの人が来るまで迎えに来てくれます。
もちろん食後も係の人に声をかければ翼港まで送ってもらえます。
ただ、繁忙期などは必ずしも迎えに来てもらえるとは限らないので、できれば前日までに、海の駅の予約と同時に、ホテルにも電話で確認を取っておいた方が良いと思います。季節の良い時期はホテル内のランチも混雑しますので予約を入れて行く事をおすすめします。
翼港からホテルまで歩いても10〜15分ぐらいだと思いますが、結構な上り坂なので夏場などは女性にはしんどいかもしれません。